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コラム

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卸売市場について

2025年8月4日

今年も全国的に猛暑が続いております。
ここ数年、異常な暑さで農作物が不作となり、価格が高騰する状況が続いたため、
この先どうなることかと、心配している方も多いことと存じます。

青果物は天候等の影響を受け易く、どうしても不足したり過剰となったりして、価格も変動します。
そんな時、需給量や価格の調整機能を担うのが「卸売市場」です。そのシステムは日本独自なのだそうです。

フィールドのお客様には、いわゆる市場(いちば)の方が多くいらっしゃいます。
今日は、市場について勉強したことを、まとめてみました。

○ 中央卸売市場と地方卸売市場の違い
一括りに「市場(いちば)」と言っても、実は大きく2種類があります。
中央卸売市場と地方卸売市場の違い

○ 卸売市場の主な機能
① 集荷・分荷 : 全国各地から食材を集め、販売先に分けます。(季節や産地や品種など毎に膨大な品数)
② 価格形成  : せり相対取引※などの公正な売買取引により、適正な価格を決定します。
③ 代金決済  : 売買取引した販売代金を速やかに支払います。(生産者、出荷者の所得安定に寄与)
④ 情報受発信 : 毎日の取引(売れ筋)や需要供給(産地状況等)の情報を出荷者や販売者に共有します。
※「せり」とは一人の売り手に対して複数の買い手が競争して取引価格を決める取引。高級品で行われます。
相対取引」とは、売り手と買い手が1対1で交渉し、数量・価格を決める取引。

○ 卸売市場で働く人々
卸売市場には、様々な業態や役割を担う業者さんや働く方々がいらっしゃいます。
フィールドのお客様も、市場のお客様と一括りでは無く、業態は様々です。
【開設者】:市場の運営、取引管理や施設整備等を行います。
【売り手】卸売業者:全国から集荷し、せりや相対取引で数量や価格を決めます。
【買い手】
仲卸業者:卸売業者から卸売された商品を販売先向けに小分け包装したり、卸売市場内の店舗で販売します。
・買出人:卸売市場で仲卸業者から商品を購入します。(小売店、飲食店等)
・売買参加者:仲卸以外で卸業者から卸売を受ける事が出来る人たち。(小売店、食品加工業者など)
【関連事業者】:市場で使う段ボールやプラ等の資材販売や飲食店営業者など。

○ 国産青果物の流通経路(中央卸売市場の場合)
国産青果物の流通経路

○ 卸売市場による需給調整について
青果物は気象条件に左右されやすく、収穫時期や生産量、品質に影響が出ることがあります。
そのため、計画通りに集荷が進まず変動を余儀なくされることも少なくありません。
また、生活必需品である青果物は一定の需要と価格の安定が求められますが、
供給と需要のバランスが崩れると、価格変動を避けるのは難しいのが現状です。

ニュースなど一般的にはあまり聞かない用語かもしれませんが、
社内や客先などで時々聞かれる言葉に「なやみ」「もがき」という言葉があります。
「なやみ」とは:需要に対し集荷量(供給)が過剰となり、卸売業者等が販売に苦慮すること。
→ 価格は低迷
「もがき」とは:入荷量(供給)が不足し、需要に対する必要量の確保に奔走すること。
→ 価格は高騰

例えば、猛暑による不作が生じた場合(もがき時)は、卸売業者は出荷団体(JAなど)からの集荷に加え、全国の比較的入荷量が多い市場から転送してもらったり、市場外の青果物流業者等から購入したりして、必要数量の確保に努めます。その際、卸売業者や転送業者等は全国的なネットワークを駆使し、確保に奔走しています。
また、保存性の高い青果品目は、仲卸業者が一定量を在庫保管し、需給ひっ迫時の安全弁にもなっています。

逆に、市場柄の入荷量が過剰となり、卸売業者や仲卸業者が販売に苦慮する場合(なやみ)においては、卸売業者が他の市場の卸売業者に販売(いわゆる第三者販売)し、市場間の物量を平準化したり、仲卸業者が他市場へ転送したり、場外流通業者やスーパーなどに「お買い得品」として提案し販促します。
また、保存性の高い青果物は。一時保管することで過剰分が緩和されるケースもあります。

参考資料:
独立行政法人農畜産業振興機構・野菜情報2025年8月号
「気象の影響などによる入荷過剰・不足時における市場機能の重要性~卸売市場による需給調整~」
日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 教授 木村 彰利
農林水産省HP「卸売市場ってどんなところ?」