全国どこでも対応いたします


業務用ニンニク・冷凍野菜・生鮮野菜 (国産・中国産)の販売


menu

コラム

コラム

冷凍野菜事業の課題 ~ 「月間低温流通」2025年6月号より(1)

2025年5月21日

「月間低温流通」は低温(冷凍・チルド)の食品・食材などの専門誌です。
同誌は対象企業(メーカー・商社)へ毎年アンケートを実施し、“冷凍野菜特集”という記事を掲載しています。
今年も2025年6月号の冷凍野菜特集にフィールドを登場させていただきました。

まずは冷凍野菜事業の概況について引用いたします。

財務省輸入通関統計を基にした同誌の集計によりますと、
2024年度(24年4月~25年3月)の冷凍野菜輸入量は、前年度比8.1%増119.2万tと過去最高を更新。
輸入金額は10.6%増3381億円で、4年連続の増加。
輸入量の増加に加え、大部分の品目でキロ当たり単価が上昇し、全体でキロ当たり7円UPの284円となり、
20年度のキロ当たり単価は180円だったので、4年間で104円、率にすると63%上昇したとのことです。

ここ数年、食品に限らず、あらゆる物が値上がりし続け、
一般的には節約志向が高まり需要が縮小する傾向となりますが、
冷凍野菜に関しては、値上げに関わらず売上数量は伸長しており、
その利便性の高さや安定性などの価値が高く評価された結果だと考えられるようです。

しかし、その一方で冷凍野菜事業に関わるメーカーや商社は多くの課題にも直面しています。
以下、同記事から「冷凍野菜事業の課題・問題点」について、ランキング形式にしてご紹介したいと存じます。

1位 気象問題(31社中19社)
・ 天候不順による原料不足、安定供給難。
・ 一つの原産国だけでの対応が年々難しくなってきている。
・ 異常気象による品薄や品質不良。
・ 世界的な天候不順による原料価格の高騰。
・ 国産農産物の不作で輸入冷凍野菜の需要が増えたが、欠品リスクも生じた。
・ 国内外における新たな産地形成の必要性。

2位 人手不足(31社中16社)
・ 農業生産者、工場、運送会社、等各段階での世界的な人手不足。
・ 農業及び製造従事者の高齢化。
・ 小規模企業の後継者不足による事業衰退。
・ 国内配送会社の人手不足による配車納期の延長。
・ 国内でのリパックが難しくなっている。(自動化、他国へのアウトソーシング化を検討)

3位 世界情勢の変動に伴う地政学的リスクの高まり(31社中9社)
・ 米中貿易摩擦による海上輸送への影響。
海外からのコンテナの日本直送便が減少、船代が上昇し、欠品のリスクも増加。
・ 為替変動の影響
乱降下は対応が難しい。
急激な(一時的)円高が安直な値下圧力となる可能性。
値下げはすぐに出来るが、値上げを実現するためには多大な労力・時間を要する。
・ トランプ関税の影響。
対米輸出抑制で安価品が日本に流入し価格競争激化やデフレ化のリスク。
・ 中国への偏重。(カントリーリスクの増大)

4位 コスト上昇(31社中8社)
・ 国内配送費用の高騰。
・ 人件費の上昇。(今後下がることは無い)
・ 資材費、燃料費、光熱費、保管料などの上昇。
・ 製造コスト上昇により慢性的に粗利確保が困難。

その他
・ 倉庫スペースの慢性的な不足。
・ 値上げによる販売数の減少、価格競争が激化。

また、今回のアンケートでは、「収益性」について、有効回答数30社中17社が「悪化した」と回答しており、「前年比並み」は5社、「良かった」は8社です。その要因として、1位は為替の影響、2位は物流費の上昇で、その他、全体的なコスト上昇や価格改定の遅れなどがあがっています。
様々な業態での人手不足を背景に、冷凍野菜の価値への認識は着実に広がり、今後も需要は拡大すると考えられるものの、「先行きは不透明」だと考えるメーカー・商社が多かったようです。
同誌は「もともと輸入冷凍野菜は天候不順や為替変動の影響を強く受ける。天候不順は既に常態化しており、為替変動も予想が難しい、そこに米国のトランプ関税という要素が加わり、混乱の度合いが深まった。」と書いています。
まさにそうですね。輸入量が過去最高を更新したものの、課題は山積み・・・です。