いずれも急速冷凍品の形状の違いによる呼び名です。
IQF は Individual Quick Frozen の頭文字をとった略語で、いわゆる「バラ(小分け)凍結状態」と言った方が分かりやすいかと思われます。使う分だけ取り出すことが出来るため、使い勝手が良く、野菜等の食材から調理済みの加工食品まで幅広い商品に適応できます。ただし、あまり長く保管していると、霜や乾燥による変色変質などが発生する可能性があります。
BQF は Block Quick Frozen の頭文字をとった略語で、いわゆる「塊(ブロック)状の急速凍結」のことです。
使用する際には全体を解凍しなければならないため、使い勝手はあまり良いとは言えませんが、葉物野菜の葉がボロボロになったり、細い千切りなどが折れたり、といった壊れやすい商品はブロック状にまとめて凍結することで、その形状を守ることが出来ます。また、すりおろしてペースト状にした野菜(ニンニクや生姜など)もブロック状に凍結すれば長期間品質を保ったまま保管することが出来ます。
ちなみに、「急速冷凍」とは、文字通り短時間で凍結させることで、食材の細胞の破壊を抑制し、食材の鮮度やうま味を維持したまま食材を凍結する方法です。
冷凍野菜素材の場合は、細胞壁の破壊や植物活性により変色等の劣化が進むのを防止するため、軽く湯通し(ブランチング)等の下処理をしてから急速冷凍するのが一般的です。
一方、家庭用冷凍庫などによる通常の凍結方法は「緩慢冷凍」と呼ばれます。
細胞内の水分がゆっくり徐々に凍結するため体積が膨張し細胞膜を破壊するため、解凍した際に水分やうまみ成分等が流出し、味や食感が損なわれやすくなります。
(急速冷凍)冷凍野菜のメリット&デメリット
◎メリット
【長期保存での品質・栄養保持】
細胞破壊が最小限に食い止められるので、品質、鮮度、栄養などがほぼ変わらないままで長期保管することができます。
【食品ロスの削減】
その時使う分だけ冷凍庫から取り出せるので、余剰な食材は必要無くなります。また、冷凍野菜は下拵えで可食部分以外を取り除くので、ほぼ可食可能と歩留まりの高さも保証されます。
【面倒な手間暇や人件費の削減】
既に可食部以外を取り除いてあるため、面倒な下拵えの手間暇が不要です。また、軽くボイル(ブランチング)されているものは、調理時間の短縮にもなります。
【安定供給】
野菜には旬があり、1年に1回~数回しか収穫されません。また、生鮮のままでは長期保管が難しいので、使いたい時食べたい時にその野菜が無いということもあり得ますが、冷凍野菜なら1年中いつでもどこでも必要なだけご利用いただけます。
◎デメリット
【乾燥による冷凍焼け】
冷凍焼けとは、急速冷凍時や保管中に、肉や鮮魚・野菜など水分や油分を含んだ食品の鮮度が落ち、変色や変質が生じ、食感やうまみが損なわれる現象です。
食品に含まれる水分は急速冷凍時や保管中に一部が気化し、徐々に乾燥が進みます。気化した水分は霜となります。油分は酸化が進み、変色や異味異臭の原因となります。
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